【結婚の話】インドネシア人との結婚話・3(国際結婚その1)

筆者も2021年の秋に、インドネシア人イスラム教徒の女性と結婚をいたしました。

多くの日本人とは異なるのは、

・国際結婚
・ムスリム(イスラム教徒)との結婚

それぞれの障壁を越える必要があった、ということです。

 

本日は、「インドネシア人と日本人の国際結婚」その1 としてお話しします。

 

日本人同士の入籍は非常に簡単

日本人同士の結婚と言っても、地方によっていろいろ習慣、しきたりがありますし、時代の流れに従ってそれもかなり変わってきています。
ですので、習慣やしきたりの話は抜きにして話をします。

 

入籍つまり法律上の婚姻を成立させることだけを考えれば、日本人同士の場合は非常に簡単です。

日本のどの自治体でもいいので、婚姻届を提出するだけです。
※ 本籍地以外の自治体に提出する場合は、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)も要ります
※ 夫の本籍地の自治体に提出する場合、妻の本籍地がその自治体ではない場合も戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)が要ります
※ 妻になる方が18歳未満の場合はご両親の同意書も必要です。夫になる方が18歳未満の場合は受理されませんので悪しからず。

婚姻届には2名の証人が必要ですが、日本在住の成人(18歳以上)であれば、老若男女および国籍問わず誰でもいいので、そんなに難しくありません。

(借金ではありませんので「保証人」ではありませんよ。「証人」です。引き受けるほうもリスクはほとんどありません。)
(たとえ親に結婚を猛烈に反対されていて親に証人になってもらえなくても、「日本在住の18歳以上」であれば友人でもいいわけです。)
(証人は外国籍の方でもいいですが、日本在住ビザつまり有効な在留カード所持者に限ります。)

 

婚姻届・神戸市版
(出典: 神戸市ホームーページ内 まちキュン・ご当地婚姻届 ページより拝借)

今はいろいろなデザインの婚姻届用紙があって、好きなデザインを無料でダウンロードできるものが多い。
上は筆者の故郷・神戸市のデザイン。

 

ただし、外国人との結婚の場合、そうは簡単にはいきません。

 

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外国人との結婚は、準備する書類が非常に多い

外国人との結婚(入籍)方法は、2つあります。

1、日本で婚姻届を出す。その後、外国(すなわち配偶者の母国)で手続きをする。
2、外国(すなわち配偶者の母国)で届けを出す。その後、日本の自治体に報告する。

私は「1」を選択しましたので、日本で先に婚姻届を出す方法について、筆者の実体験をもとに説明します。

 

自治体に提出する書類は、少なくとも

・婚姻届
・(日本人配偶者の本籍地以外の自治体に提出する場合は、日本人配偶者の)戸籍謄本つまり戸籍全部事項証明書。
・外国人配偶者のパスポートのコピー
外国人配偶者の婚姻要件具備証明書

が必要になります。

(参考:神戸市「外国人と婚姻する場合は-どのような手続きが必要になりますか」より)

外国人配偶者のパスポートの原本を持参してコピーを取ってもらうことも可能です。

 

で、非常に面倒なのが、この「外国人配偶者の婚姻要件具備証明書」。
これを取得するために、準備する書類が膨大になります。
取得できる場所が、外国人配偶者の国籍の在日本大使館または総領事館。

筆者はインドネシア人と結婚するために、大阪・中之島にある在大阪インドネシア共和国総領事館へ行きました。
関東あるいは東日本在住の方は、東京にあるインドネシア共和国大使館でも手続きできます。

 

インドネシア人配偶者の婚姻要件具備証明書を取得するために必要な書類は、下記の通りです。

 

インドネシア人側の準備する書類

・Model N1(Surat keterangan untuk nikah、Surat Pengantar Nikah など:結婚のための証明書
インドネシア人配偶者本人とその両親、それぞれのフルネーム、NIK(Nomor Induk Kependudukan:インドネシアのマイナンバー)、性別、出生地、出生日、国籍、宗教、職業、本籍地が記載されたもの
・Model N2(Surat Keterangan Asal Usul など:出生証明書
私の配偶者の場合は必要事項がすべてN1に含まれていたので提出せず
・Model N3(Surat Persetujuan Mempelai、 Formulir Persetujuan Calon Pengantinなど:新郎新婦の同意書
私の配偶者の場合はこれが「Model N4」になってました(笑)。新郎新婦それぞれ直筆署名して提出。
・Model N4(Surat Keterangan Tentang Orang Tua など:両親証明書
これも必要事項がすべてN1に含まれていたので提出せず
・Model N5(Surat Izin Orang Tua:両親の結婚同意書
インドネシア人配偶者、日本人(本人)、配偶者のご両親、それぞれのフルネーム、日本人以外のNIK、性別、出生地、出生日、国籍、宗教、職業、本籍地が記載されたものに、インドネシア人配偶者のご両親の直筆署名とRp.10,000の印紙が貼られたもの。
・インドネシア宗教事務所(KUA)または住民登録局(Catatan Sipil)からのカバーレター
イスラム教徒はKUA、それ以外のインドネシア人はCatatan Sipilからのカバーレター
Kaltu Keluarga(家族カード:日本の「家族全員が記載された戸籍謄本」とほぼ同じ)のコピー
但し窓口で原本提示が必要な場合がありますので原本は日本に持ってきておいたほうがいいでしょう
パスポートのコピー
但し窓口で原本提示が必要な場合がありますので原本は持参したほうがいいでしょう
KTP(Kartu Tanda Penduduk:身分証)のコピー
但し窓口で原本提示が必要な場合がありますので原本は日本に持ってきておいたほうがいいでしょう
在留カードのコピー
在留カードは常時携帯を義務付けられています

※ Model N5(両親の結婚同意書)はインドネシア人配偶者が初婚の場合のみです。婚姻歴がある場合はこれは不要ですが、代わりに離婚証明書または死亡(死別)証明書のコピーが必要です。
※ 筆者たちの場合ですが、Model N5はコピーだけ取られて原本は返却されました。

 

日本人側の準備する書類】(すべて日本語のままで可。訳文不要)

戸籍謄本(本籍地の市町村発行の原本、発行3ヶ月以内)
住民票(現住所の市町村発行の原本、発行3ヶ月以内)
独身証明書(本籍地の市町村発行の原本、発行3ヶ月以内)
※ 初婚の方のみ。離婚歴や死別歴のある方は離婚証明書または戸籍届出受理証明書など。
両親の結婚承諾書(「両親承諾書」の題名で書式任意で自作し、親の捺印)
パスポートのコピー

(参考:在大阪インドネシア総領事館「Dokumen Pernikahan Secara Umum」)

 

これを見ただけで、多くの方は頭痛か眩暈をするのではないでしょうか?
独身証明書なんて一生見ない方も多いのではないかと思います(笑)
しかも両親の結婚許可書を(決まった書式はないので)自作しなくてはいけません。

でも、落ち着いてやれば、問題なくクリアできます
インドネシア人との婚姻届の提出だけであれば、行政書士に頼る必要はありません。
(行政書士に頼っても、インドネシア人配偶者の書類は行政書士は集めてくれませんので自力で集めるしかありません)

 

インドネシア人配偶者側が集める書類のいくつかに、日本人配偶者の情報を記載する書類が含まれます。
インドネシアの書類ですので、当然「宗教」欄があります
宗教の信仰は義務として無宗教を認めていないインドネシアですので、たとえ日本人の情報であっても空欄(無宗教)にはできません。
妻がインドネシア人イスラム教徒であれば、日本人夫もイスラム教徒である必要がありますし、夫がインドネシア人イスラム教徒であれば、日本人妻はイスラム教徒か(最低でも)キリスト教徒かユダヤ教徒である必要があります。
よって、この時点で既に改宗を済ませておく必要があります

 

当然、インドネシア人配偶者側のご実家のご協力は絶対に必要です。
書類集めも大変ですし、ご両親の結婚承諾書への署名も不可欠です。

私のインドネシア人配偶者は日本で仕事をしていましたし、コロナ禍もあって母国インドネシアへの帰国もままならない中で、でしたので、猶更でした。
これらの書類をかき集めていただき、さらに、配偶者(当時は婚約者)はKTPもKartu Keluargaも持ってきていなかったので、これらをまとめて配偶者にEMSで送っていただきました。

感謝してもしきれないし、どれだけお礼をすればいいやら、と思っていましたが、それをチャラにしてくれる(させられる)とある習慣・しきたりに出くわすことになりましたので、まあ、トントンかなと思っています(笑)
(詳細は次回か次々回)

 

集めたこれらの書類を、筆者とインドネシア人配偶者は在大阪インドネシア総領事館へ持参しました。
(結婚する当人が2人で来る必要があります。片方だけまたは代理人の来館は認められていません。)

KJRI OSAKA
在大阪インドネシア総領事館

 

午前中に持参し、「昼過ぎ14時ごろに出来上がるからまた来て」と言われて一旦退出して昼食後、再び出向いで待つも、さすがJam Karet(ゴムの時間:時間にルーズなこと)のインドネシア。14時ごろに出来上がっていません(苦笑)

婚姻要件具備証明書を取得してすぐに神戸市の役所(東灘区役所)へ直行して、その日のうちにすべて提出して婚姻届を受理してもらうつもりで予定を立てていましたので、筆者も配偶者も焦りとイライラが募るばかり(苦笑)

15時30分にようやく、婚姻要件具備証明書を入手しました。
それだけでなく、他の書類も頂戴しました。
この書類が、また非常に面倒なものだったのです。
(その詳細は次回)

 

外国人配偶者の婚姻要件具備証明書が日本語ではない場合、つまり外国語で作成されている場合は、日本語の訳文(訳者の署名)が必要になります。
幸い、在大阪インドネシア総領事館で発行される婚姻要件具備証明書は英文と和文が併記されていますので、そのまま日本の自治体に提出することができます。
(東京のインドネシア大使館で発行される婚姻要件具備証明書も同様です)

 

在大阪インドネシア総領事館がある中之島からJR尼崎駅までタクシーですっ飛ばし、JR神戸線(東海道本線)快速で住吉駅まで行き、駅から区役所までは歩ける距離ですが雨が降ってきたのでタクシーに乗って・・・
(タクシーの運ちゃん、東灘区役所を聞き間違えて東灘警察署に行ってしまうものだから時間ロス(苦笑))

閉庁15分前ギリギリに駆け込んで、婚姻届と婚姻要件具備証明書を提出
インドネシア人配偶者のパスポートのコピーをとられ、パスポート記載内容の日本語訳をその場で作成して提出
無事受理となったことを確認して、退出しました。

 

なお、婚姻届に筆者自身の捺印を忘れていたのですが(当然印鑑も持参していなかった)、今は、直筆署名があれば捺印はなくても大丈夫とのことでした。

無事婚姻届が受理された祝いとして、JR住吉駅前の寿司屋に入って寿司で締めました(笑)

 

日本人同士の婚姻と国際結婚の違い:姓(苗字)について

日本国の民法上、夫婦は同一姓(氏)つまり同じ苗字である必要があります。
婚姻届にも、「夫の氏」「妻の氏」の選択肢があります。

ただし、これは、日本人同士の婚姻の場合のみで、外国人との国際結婚には適用されません
外国人との国際結婚は、夫婦別姓のままが基本です。
ですので、「夫の氏」「妻の氏」の選択肢にチェックを入れる必要はありません。

なお、任意でいずれかの姓(氏)に合わせることは可能です。
合わせたい場合は、選択肢にチェックを入れても構いません。

なお、うちのインドネシア人配偶者は区役所職員から「ファミリーネームはどうしますか?」と尋ねられて「そのままで」と即答していました…
まあ、インドネシア人には法的な姓(氏)はありませんので、変えようがないんですけどね。
(記事「インドネシア人の「姓」って?夫婦別姓ってホント?」参照)

 

別書類での手続きになりますが、日本での「通名」を作ることもできます。
パスポートや在留カード上の本名(フルネーム)が変わるわけではありませんが、日本で生活するうえで日本風の名前を名乗りたい場合、「通名」を届け出ることも可能です。
(うちは、やっていませんが。どうする?って尋ねても「要らん」の一言でした…)

 

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まだまだ続く・・・・

ちなみに、、、、
これで、日本の法律上は晴れて夫婦になりましたが、これで終わりではありません。

・インドネシア側で手続きするための書類の入手(そのための書類作成)
・イスラム教上の正式な夫婦となるための必須のしきたり

が、待っているのです。

それはまた次回以降に。

 

 

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